今年も、4月1日から6月末日まで狂犬病の予防注射月間が始まります。終生1回の登録と、1年1回の予防注射を受けることは、犬の飼主として最低限守らなければならない義務です。 無登録、無注射は20万円以下の罰則を受けることがあります。
狂犬病は犬だけの病気か? 狂犬病は犬だけが罹る病気でなく、人を含めた全ての哺乳動物が罹る非常に恐ろしい伝染病で、感染し発症したら人も動物も治療方法が無く、ほぼ100%死亡する病気で、WHO(世界保健機関)によると届け出られただけでも、全世界で毎年5万人以上の人が死亡し、この何倍もの動物が死亡しています。
病原体は 現在Genotypu-1~Genotypu-7までの、7つの遺伝子型に分類されていま す。
発生状況は 下の世界地図の、オレンジ色は狂犬病発生国、青色は長い間狂犬病の発生の無い国、ピンク色は発生があるのか無いのか全く報告の無い国です。
長い間狂犬病の発生の無い国を「狂犬病清浄国」と言うが、日本、イギリス、二ユージーランド、シンガポール、フィジー、台湾、キプロス、アイスランド、アイルランド、ノルウエー、スエ―デン、米国(グアム、ハワイのみ) のたった12ケ国だけです。
日本での発生状況は 日本での狂犬病の発生は、1920年代は年間3,500件位の発生があり、 多くの人や動物が死亡していましたが、1950年に狂犬病予防法が制定さ れ、犬の登録とワクチン接種が義務化され、1956年に6頭の発性があっ たのを最後に、今日までの55年間自然発生例はありません。ただし197 0年にネパールで一人、2006年にフィリピンで二人の人が犬に咬まれ、 そのまま帰国し発症、いずれも亡くなっています。このように一度発症した ら治療法が無く、ほぼ全ての人も動物も死亡するという非常に恐ろしい伝染 病です。
今後日本での発生はあるのか 世界がここまでグローバル化された現在、世界各地からの人の出入り、毎日 輸入される膨大な大型荷物やコンテナ荷物、その中に狂犬病に感染した小型哺乳動物や鳥類が紛れ込んで、上陸してしまうことが十分考えられます。更に狂犬病流行国であるロシアとの交易が盛んな北海道では、不法上陸した犬の存在が確認されています。こうした事を考えると、いつ何時、日本国内で狂犬病の発生があっても何ら不思議ではありません。特に近年日本では長い間狂犬病の発生がないことからか、飼い犬の予防注射接種率が低下しており、ひとたび国内に狂犬病ウイルスが持ち込まれたら、大変なことになるのではと危惧されています。
発生の予防は 現在狂犬病発生国では、犬に咬まれた人や動物が発症する例がほとんどであ ることから、まず全ての飼い犬が予防注射を受け、野良犬を含めた全ての犬の狂犬病予防注射接種率が70%以上になれば、大流行を抑えることができると言われています。 狂犬病予防注射は決して犬のためだけでなく、人間や実に多くの動物の命を 守るための予防注射です。他人に迷惑や心配をかけないためにも、皆さんが 飼われている犬に狂犬病予防注射を受けさせることが、最大の発生予防にな ります。 |